あいどるまいどる

二次元アイドルと三次元アイドルにぷかぷかする

沼に落ち続けていたら海に辿り着いた話

 本日、沼入りならぬ海入りを確認したのでここに報告したいと思う。 

 

 去年の年明けに嵐さんに転げてからというものの、バラエティーや雑誌、CDやDVDで順調にこじらせていった。三次元のさの字もなかった自分の部屋やカメラフォルダがアイドルスマイルで埋まっていく状態は今現在も悪化の一途を辿っているが、私がこじらせる原因の最たるものだと考えるのが鑑賞会だ。

 

 ちょうど去年の今頃、ハマりたてで見るもの全てが新鮮だった私に嵐ファンの友人は声をかけてくれた。

「鑑賞会しない?」

 まああれだ、ナンパみたいなもんである。その時点でコンサートDVDをまた見ておらず、嵐さんの本領発揮であるステージをまだ見ていない私はかっこうのカモだ。今見せればさらに沼へと突き落とせる。友人の目論見通り、現在このざまである。チクショウ、ありがとう。

 誘いを受けてから記念すべき第一回目の鑑賞会をしたのが2月初めだったか。両手両足の指を使ってようやっと数えられるくらいの回数を重ねてきたが、今でもあの時の感覚は思い出せる。興奮、興奮だ。

 

「かわいい!!」

 

 気づけば私は叫んでいた。

 その時見たのはアラフェス2012とpopcornだったから、一番下でも29歳、立派なアラサーアイドルである。しかしこのアラサーアイドル、なんとかわいいことか。単純な若さや勢いだけで生まれるかわいさではない、アイドルとしての輝きをまとった、必然的で偶然的なかわいさがそこにはあった。特にpopcorn、齢30をも迎える男がかぶりものなんかかぶって「ポップコーンマンだよ!」とか言っちゃってる。ちょっとよくわからない。

 ジャニーズのコンサートってカッコつけまくってキャーキャー言われるもんじゃなかったの?このキラキラかわいい空間は一体なに?理解と時間の処理が追いつかなかった私は友人に頼んでもう一度家で視聴したが、やっぱり何度見ても意味不明なほどかわいかった。嵐さんてコンサートでもかわいいのかよやべえな。ここから怒涛のコンサートDVD購入と鑑賞会の嵐が始まった。自分で勝手に巻き起こしまくっていた。

 

 そして2016年1月下旬。私は計17回の鑑賞会(嵐さんのみ、ドラマや映画も含む)をこれまでこなし、あまりに某カラオケ店にお世話になりすぎて中の人ではないかと疑われるまでに至っているが、本日も元気よくただの客だと宣言しながらDVDを持参して某カラオケ店を訪れた。通算18回目の鑑賞会である。

「もちおりさん鑑賞会しよう」

「オッケー任せろどれにする?」

 18回も重ねると人は成長するものだ。最初は友人に借りて見ていたコンサートDVDも、私の手元に揃いつつあった。まだ見ていない別の友人との鑑賞会の時は私が持参するのが定番になっていた。ポチってよかった、Amazon

「AAA2008とpopcorn見たいな」

 友人が指定したのは嵐さん初めての国立コンサートとなるAAA2008と、アラサーのかわいさが渋滞を起こしているpopcornだった。

 

 何度も何度も鑑賞会を重ねていると傾向がつかめてくる。大きく分けると、

尊いやつ 「あーーーーー(静かに涙を流し崩れ落ちる)」

・かわいいやつ 「あーーーーー!!(頭を抱えながらブチギレる)」

・しんどいやつ 「あっ……ああ………(体を震わせて言語を失う)」

 この3点だ。もちろんコンサートDVDにはアイドルが凝縮されて詰め込まれているわけだから1点だけ該当するわけではなく、細かく見ると複数該当する。だがおおまかなイメージでいくと、AAA2008は「しんどいやつ」でpopcornは「かわいいやつ」だ。そして「しんどいやつ」は鑑賞会において最高に体力を奪ってくるものだということも既に理解している。

 だから「最初にAAA2008見てpopcorn見よう」と言って見始めた。「かわいいやつ」で締めれば鑑賞会サイコー!イエー!で終われる。私も成長したもんだな。そう慢心していた。

 

 しかし肝心なことを忘れていた。

 そういやpopcorn買ったはいいけど最初の鑑賞会後に見てからちゃんと見直してなくね、私。

 

 今年の年明けにお年玉を生贄にしてコンサートDVDを召喚した。そのラインナップの中にpopcornも入っていたから途中までは見ていたのだ。うんうん、こんな感じだった。あーやっぱかわいい。ハマってから見直すと視点もちょっと変わってくるなあ。記憶に強烈に残っていたポップコーンマンまで見て私は満足していた。友人に「マジ松本潤くんかわいいから天使だから松本担になるからね」と勢い込む大野担。途中までしか見てないくせに何を言ってるんだコイツは。友人がキャーキャーと喜ぶ姿を想像して私はほくそ笑んでいた。これが海入り前の、最後の笑顔である。

 

 事件はDISC2で起きた。

 「旅は続くよ」から始まるpopcornDISC2。そこから「ナイスな心意気」「Lucky Man」とアラサーアイドルは弾けまくる。死ぬほどかわいい。そしてさっきまでニッコニコの笑顔を振りまきまくっていた潤きゅんはソロ「We wanna funk, we need a funk」で松本さんになる。ごっつい色気の中で見せるニッとした少年のような笑顔。松本担になります!!と叫ぶ私。空気がガラリと変わり、美しく儚い二宮くんがソロ「それはやっぱり君でした」を歌い上げる。3分前に松本担になっていた私はにのみやくぅん…すき…とソファに倒れ込んでいた。彼が水の演出と共に幻のように消えてしまったと同時に自担がひらひらと舞い始める。一瞬で大野担に戻る私をよそに、アクセントダンスで魅せる嵐さん。この流れからの「リフレイン」「Face down」は息が止まるほどにかっこいい。少し神経質そうな真顔の美しいこと。あ、嵐さんてかっこいいんだった。当たり前すぎる事実が頭をよぎり、かわいいとかっこいいのギャップ…アイドル…と放心しかけていたところで、軽いギターのイントロが入り、それまで鋭い目でキリキリと踊っていたアイドル達はパッと花を咲かせた。

 

「いくぞーー!」

 

 その瞬間、感情がパンクした。

 かかり始めた曲は「Oh Yeah!」だ。嵐さんのコンサートでは鉄板曲の一つで、メンバーに煽ってもらいながら全力で手を振る盛り上げ曲。歌っているだけで号泣するような曲ではない。けれど、溢れた涙は止まらなくて、軽快な曲が鳴り響く中私はむせび泣いていた。

 かわいいとか尊いとかしんどいとか、そういう次元じゃなかった。そんな言葉では形容できないものを確かに見たのだ。泣いて泣いて泣きまくった後に見た彼らの姿に、鼓動はずっと鳴り止まなかった。キメ顔やキメポーズ、わちゃわちゃとする様だけではない、彼らの仕草、表情、なにもかもが愛おしく感じた。どこがどうって、もう説明しきれない。好きだ。彼らが好きだ。これ以上に、この感情をどう表現したらいいのだろう。

 

 アイドルを好きになってどうするんだ、という意見を見る。その「好き」が還元されるわけでもないのに、と。その「好き」は恋の「好き」と同義なんだろう。

 そりゃあ確かにどうしようもない。でもどうしたいとも思わない。私の「好き」は恋の形で還元されなくていいのだ。彼らが与えてくれる興奮と感動を享受すること、それに喜びをおぼえる。応援していたら楽しいことだけじゃない、心が荒むことも時にはある。きっといつか、来る絶望を味わう。けれど夢を見ている人間にいつかの絶望の話をしたところで、どうしろと言うのだ。

 今だ。今、好きなのだ。今、夢を見ている。その姿が他人にどんなに滑稽に見えていても、私は夢を見せてくれている彼らを滑稽だとは思わないから「好き」でいる。それだけの話だ。

 

 全ての感情が崩壊した後に来たものは、純粋な「好き」だった。世界が一層きらきらとして見えたし、心臓はどくどくと言い続けている。一番初めの鑑賞会では興奮を感じたが、鼓動が鳴り止まないのに気分は穏やかと言える。沼を落ち続けて、海へとたどり着いたのだ。とても深くて広い、海に。果ては見えない。

 

 

 なにはともあれとりあえず、popcornみんな見てください。